08/SEP/2000 UP




  声優・三木眞一郎へのオマージュ  




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巷に雨の降るごとく - “Weiβ”後日譚 -



飲んでも少しも酔えない。空の喉と腹を焼くだけで、酒はよどんで淵となる。
苦い、酒。


・・・・・・・・・・・・・


顔も名前も全部変えて、街を出た。
あれは、現実だったのか、いまではそれさえ定かではない。
時が流れて、俺も流れて、知らない街で、くたびれたオヤジになっていく。
それもまた、いいんじゃないか。

この街に居ついて、どれくらいになるだろう。
ひょろりと背の高い、痩せた男が、どこから来て、何をしているかなんて、
だれも気にしやしない。
冷めたいって?
生きてくってことが、他人のことなんかかまっていられないほど、難しいって
ことだろう。
その無関心さが、今の俺には心地いいんだ。

外側を変えてはみても、中身まではそうそう変わらないらしい。
俺はまたぞろ、探偵で食っている。
失せ物だの、迷い猫探しだの、そんな類いの、言ってみりゃケチな仕事専門だ。
最高良くて離婚の仲介。不倫の現場の写真を撮ってなるべく高い慰謝料にする。
なに、はなっから、別れたかったのさ、俺のお客は。確信犯ってやつ?
だれも傷つけない、だれも傷つかない、そんなお仕事。
半端なぬるま湯と言ってもいいぜ。ホントにハンパなんだから。 
逃げてるのかも、しれないな。


いつも立ち寄る公園で、AKIRAと話すようになった。

AKIRAはいつもひとりで、たいていブランコに乗るか、
ベンチで足をブラブラさせて座っていた。






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