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30/JUN/2001 UP


   若い男性に肥満体がいない理由   



嘘だと思ったら、観察してみて。 
若い男の子で太ったコってホントにいないから。
繁華街やMRTなんかでは、時々、恐ろしいほどのナルちゃんとか、
もうもうぜったいゲイだーって感じのコとかは見かけるけどさ。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


《シンガポールは徴兵制!!》

そう。これを知った時はとても驚いた。
シンガポール人の男性には、18歳から2年間の兵役と、
その後最低でも13年間にわたって予備役として訓練に参加しなければ
ならない義務があるのだそうだ。
正しくは、『ナショナル・サービス』 といって、ポリスや消防などの公共の
福祉の為の機関もこの義務の対象なので、いわゆるアーミーだけでは
ないらしいけど。
とにかく、男性全員に、こういう義務がある!!

アーミーではさまざまな軍事訓練を受けるのだけれど、例えば、
「2.4qを10分以内で走り切る」など、細かい規定があるのだそうだ。
あの暑い国で、あの迷彩服を来て、アーミー・ブーツを履いて、・・・・・
考えただけでクラクラしちゃう。(ほとんどの人が9分代で走り切るとか!)

<余談だけど>
アーミーでは様々な専門家を育てる。
例えば、“ジャングル戦のスペシャリスト”とか。
シンガポールは国土が狭いし環境が限られているので、外国に行って
トレーニングを受けることもあるそうだ。
いくつかの外国には“シンガポール軍基地”が置かれているのだとか。

兵役期間中は、ほぼ無給、らしい。もちろん衣食住完備だけど。
兵役終了時にスズメの涙(マジで!)ほどのお金が振り込まれるだけ
なのだそうだ。 お給金は、位が上がれば少し上がるようだけど、
でもスズメの涙には違いないという。

『徴兵制』をどう思うか、『サイプレス』の先生達に聞いてみました。
 ・ 「シンガポール国内でも、賛否両論がある。 
   自分としては、おもしろい経験だったと思っている。」
 ・ 「国を守るには必要なことなんだ。 
   シンガポールは国土が狭くて、人口も少ないから、義務にしないと
   国を守るのに必要な人員が確保出来ないからね。」
“公共の福祉の為の仕事である”ということで、おおむね、皆さん
「誇りを持って兵役にのぞんでいる」ように、私には見えました。

ちなみに、
女性には兵役の義務はないので、若いコで太めちゃんも、います。
職業軍人には女性兵士がいて、軍事訓練の教官が女性のことも
多いそうです。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


《ショック! 予備役で会えない》

念のために説明すると、『予備役』というのは、
「軍役を終わった軍人が一定期間服する兵役。平常は市民生活を送り、
非常時に召集されて軍務に服する」こと。
シンガポールでは、
予備役の訓練は、アーミーの場合、年に1回で期間はだいたい2週間位。
召集の時期は全く決まってなくて、いきなり「いついつから」っていう連絡
が来るらしい。(ホントに直前というわけではなく、訓練期間の少し前には
連絡されるみたいだけど、それにしたって、職場は困るでしょうね。)

<追記> 〜シンガポール在住の方からお聞きした話〜
「予備役の訓練、確かに企業にとっては面倒です。
もっとも事前に
連絡はあるし、こればっかりは仕方が無いので取引先も分かって
くれるし、給料も国が面倒を見てくれるので、それほど実害は無いのですが。
ただ、やはり、頼りになる奴ほど、軍隊でも期待されていて、結構長期の
サービスに呼び出されます。
例えば、今週から、うちの
ITエンジニアも、1ヶ月間外国で訓練です。
一方、仕事ができない人は、軍隊でも役に立たないようで、 せいぜい二日間程度の
呼び出ししかされない、というのが困った
ところです。」 と、いうことです。

訓練中は全然家に帰れないのかどうか聞いたところ、
「訓練の内容によるなぁ。あとは上官のきげん次第かな。」だそうです。

訓練期間中のお給料はどうなってるのかを聞いたら、「出る」とのこと。
シンガポールでは、月給(基本給)の20%を年金(将来は自分がもらう
年金になる)として政府に収めていて、その金額をベースに訓練期間中
の給料が計算される、そうです。
だから、基本給がない仕事やアルバイトで暮らしている人は、
最低ランクの金額しか貰えないらしい。(これもまた、スズメの涙程度。)
逆に、もの凄く基本給が高い人だと、経費の関係で、
必ず1年に1回訓練があるアーミーから、2〜3年に1度程度の消防に
移ってくれ、と言われたりする場合もあるとか。

これ以外にも、予備役期間中(一般兵士で35歳とかそのくらい。
位が上だともっと長い。)には、
「突然召集をかけて、どれくらいの時間で来られるかチェックする」
(遅いと、ペナルティーで何度もこのチェックがかかるらしい)とか、
「いきなり呼び出して体力測定をする」なんていうのも、ちょくちょくあって、
この時は2.4qを12分以内で走り切れなければならないそうです。
苛酷だ!

<余談ですが>
アーミー&予備役期間の福利厚生として、IDカードを持っていると、
映画館の入場料が割り引きになったり、軍人用のクラブでお酒が
割り引きで飲めたりする特典があるそうです。


◇   ◇   ◇   ◇   ◇


とまぁ、このような理由で、
シンガポールの若い男性に肥満体がいないのですね。
予備役期間が終了すると、とたんに、今まで出来なかった分を取り返す
ように、大酒を飲んだり、大めしを食ったり、油っこいおやつを食べたり
するようになるので、中年以降には腹の出た人が沢山いるのだ、と
私は推理します。


◇   ◇   ◇   ◇   ◇


徴兵制度は、日本人の私にはなかなか理解しずらく、また、かなり
違和感もあります。 
でも、シンガポール共和国の歴史を知ると、「いたしかたないのかな」
と思う部分も確かにあります。
だけどね。 私が『サイプレス』に足マッサージの修行に行くと、
誰かが「予備役で不在」っていうことも多いんです。
そんな時は、「やめてくれ!」と思います。
あまりに、似つかわしくない気がするのです。兵隊さん、優しすぎ。



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